仏大統領選「マクロン勝利」は盤石ではない

渡邊啓貴
執筆者:渡邊啓貴 2017年5月1日
カテゴリ: 国際 政治 社会
エリア: ヨーロッパ
マクロンの勝利は盤石とはいえない(左はブリジット夫人)(C)AFP=時事

 

 「フランスの結集を」――マクロン候補の大統領選挙第2回投票に向けたスローガンだ。フランス大統領選挙は4月23日の第1回投票の結果、独立系政党「前進 !」の元社会党員エマヌエル・マクロン候補が23.7%で首位となった。マクロン氏は「私はナショナリストの脅威に立ち向かう祖国の大統領になりたい」とあらためて第2回投票への意欲を明らかにした。

「大連合」狙うマクロン

 マクロン候補の狙いは、ドイツのような中道派を中心とした党派を超えた安定的な大連合政権にあるといわれる。それに合わせるように、主だった閣僚を含む政治家たちや社会党ヴァルス前首相、保守派ラファラン元首相も支持を表明していたし、それよりも早い段階で、2月には中道派のバイルー元教育相、社会党ルドリアン防衛相、保守共和党サルコジ派のエストロジ・ニース市長らはマクロン当選を見込んで支持を表明していた。第1回投票後には、国民戦線(FN)の進出を阻止するために、ジュペ元首相、フィヨン共和党候補らもマクロン支持を打ち出した。これまでの政党関係の再編による連合勢力構築が進んでいる。
 他方、1位になる予想も出ていたFNのマリーヌ・ルペン候補は21.7%で2位に終わった。極右の躍進を危惧していた多くのフランス国民は、ひとまず安どの気持ちを持ったに違いない。しかし、保守派と社会党という従来の既成大政党を抑えて、極右が堂々と決選投票にコマを進めたのは事実だ。ルペン旋風が第2回投票と6月の国民議会選挙(総選挙)に与える影響は大きい。

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執筆者プロフィール
渡邊啓貴 東京外国語大学大学院総合国際学研究院教授。1954年生れ。パリ第一大学大学院博士課程修了、パリ高等研究大学院・リヨン高等師範大学校客員教授、シグール研究センター(ジョージ・ワシントン大学)客員研究員、在仏日本大使館広報文化担当公使(2008-10)を経て現在に至る。著書に『ミッテラン時代のフランス』(芦書房)、『フランス現代史』(中公新書)、『ポスト帝国』(駿河台出版社)、『米欧同盟の協調と対立』『ヨーロッパ国際関係史』(ともに有斐閣)『シャルル・ドゴ-ル』(慶應義塾大学出版会)『フランス文化外交戦略に学ぶ』(大修館書店)『現代フランス 「栄光の時代」の終焉 欧州への活路』(岩波書店)など。
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