「トランプ・習近平会談」の意味を改めて考える

宮本雄二
執筆者:宮本雄二 2017年5月9日
カテゴリ: 国際 外交・安全保障
4月6日、米フロリダ州で会談したトランプ大統領(左)と中国の習近平国家主席 (C)AFP=時事

 

 さすがに米国は超大国だなとしみじみ思う。いかに理不尽と感じようと、トランプ大統領の言葉に世界中が一喜一憂し、引っ張り回されている。面と向かって反対する国も指導者もいない。中国も例外ではない。

強化された米中対話のメカニズム

 4月6-7日に開かれた米中首脳会談は、今後の世界の動きにどのような影響を及ぼすのであろうか。名実ともに世界第1と第2の大国の指導者同士の会談であり、世界中が注視していた。しかも、超型破りなトランプ大統領と、経済、軍事面での存在感を強めているだけではなく、世界の秩序形成に対する発言権を強めようとしている中国の習近平主席との対話である。当然、世界の関心は高まる。
 結果は、想像通りと言おうか、トランプ流の“不確実性”の高い会談となった。ちなみに中国は「首脳会談」と呼ばずに「元首面会(面晤)」と呼んでいる。国家元首同士が会ったということであり、中身よりも会ったこと自体が重要だということを示したかったのだろう。それほど中国にとっても予測の難しい首脳会談だった。
 結論を先に言えば、基本的にはすべての問題を先送りしている。しかし、首脳同士の気持ちの交流はできたようであり、これは重要だ。トランプの良い資質でもあり、豹変する可能性があることを予知しながらも、相手をしばらくはまじめに付き合っていこうという気にさせる。この点ではオバマ前大統領より遙かに優れている。しかも、いくつかの重要な合意をしており、米中の対話のメカニズムはさらに強化された。

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執筆者プロフィール
宮本雄二 みやもと・ゆうじ 宮本アジア研究所代表、元駐中国特命全権大使。1946年福岡県生まれ。69年京都大学法学部卒業後、外務省入省。78年国際連合日本政府代表部一等書記官、81年在中華人民共和国日本国大使館一等書記官、83年欧亜局ソヴィエト連邦課首席事務官、85年国際連合局軍縮課長、87年大臣官房外務大臣秘書官。89 年情報調査局企画課長、90年アジア局中国課長、91年英国国際戦略問題研究所(IISS)研究員、92年外務省研修所副所長、94年在アトランタ日本国総領事館総領事。97年在中華人民共和国日本国大使館特命全権公使、2001年軍備管理・科学審議官(大使)、02年在ミャンマー連邦日本国大使館特命全権大使、04年特命全権大使(沖縄担当)、2006年在中華人民共和国日本国大使館特命全権大使。2010年退官。現在、宮本アジア研究所代表、日中友好会館副会長、日本日中関係学会会長。著書に『これから、中国とどう付き合うか』(日本経済新聞出版社)、『激変ミャンマーを読み解く』(東京書籍)、『習近平の中国』(新潮新書)。
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