バンドゥーラの音色にのせて(5・了)祖国に、そして日本に届けたい想い

執筆者:カテリーナ・グジー 2017年9月16日
エリア: ヨーロッパ アジア
CD『Banduriste II』のために撮影された1枚(筆者提供、以下同)

 

 東日本大震災があってから特に、「チェルノブイリ」について、隠すことはもう何もないと思う反面、正直に言いますと、実は話すことにためらいも覚えるようになりました。

 と言うのは、福島の子どもの健康やいじめについてニュースになるたびに、私も同じような辛い体験をしてきたことを思い出すからです。

 福島の子どもが鼻血を出すことは原発とは関係ないと言う人もいますが、チェルノブイリの事故でキエフに引っ越した後、私も毎日のように鼻血を出していました。事故のときは私はまだ生後1カ月でしたが、事故のことを政府から何も知らされていなかった私たち家族や近隣住民らは、しばらくの間、普段と変わらない生活をしていたし、子どもたちも外で遊んでいたことは最初にお話しした通りです。

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執筆者プロフィール
カテリーナ・グジー(かてりーなぐじー) バンドゥーラ奏者。1986年、ウクライナ・プリピャーチ生れ。幼少期より故郷ウクライナの民族楽器であるバンドゥーラに触れ、民族音楽団「チェルボナカリーナ」で活動する中で、10歳の時に日本公演のため初来日。16歳からウクライナ・レフゥツキー音楽専門学校で声楽、バンドゥーラの演奏技術、音楽理論を本格的に学んだ後、2008年、音楽活動の拠点を東京に移す。現在は日本で活動する数少ないバンドゥリストの一人として、国内ツアーの開催やライブハウスでのパフォーマンスなど精力的な活動を行っている。
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