バンドゥーラの音色にのせて(2)おさなごころに感じた日本人の温かさ

執筆者:カテリーナ・グジー 2017年9月14日
エリア: ヨーロッパ アジア
コンサート後、ファンと触れ合う時間も大切にしている(筆者提供、以下同)

 

小学校の授業が終わると、午後から音楽学校に通い始めました。バンドゥーラは週2回、ピアノを1回、歌を2回、指揮を1回、音楽理論と音楽史はそれぞれ1回――。レッスンは毎日ぎっしり。もちろん、練習を徹底的にしなければうまくなりませんから、レッスン後に毎日6~8時間はバンドゥーラを弾いていました。

 今は自分の爪で弦を弾いて演奏していますが、子どもの頃は「付け爪」をしていたので、指が弦に擦れて肉刺(マメ)が裂けることもたびたびで、血を流しながら泣きながらの練習です。普通の子と同じような生活をしたい、遊びたいという気持ちが強くなり、思わず母に「やめたい」と漏らすと、「どれだけ大変でも続けなさい! 今やめたら、将来何もできなくなるわよ‼」と、机を叩かれて怒られました。学校でいじめられるのも辛かったけど、友だちとまったく遊べないことが本当に悲しくて、そういう泣き言を言うたびに母に怒られる毎日がとっても辛かったです。おさなごころに、毎日がまさに“地獄”のようだと思ってましたね。

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執筆者プロフィール
カテリーナ・グジー(かてりーなぐじー) バンドゥーラ奏者。1986年、ウクライナ・プリピャーチ生れ。幼少期より故郷ウクライナの民族楽器であるバンドゥーラに触れ、民族音楽団「チェルボナカリーナ」で活動する中で、10歳の時に日本公演のため初来日。16歳からウクライナ・レフゥツキー音楽専門学校で声楽、バンドゥーラの演奏技術、音楽理論を本格的に学んだ後、2008年、音楽活動の拠点を東京に移す。現在は日本で活動する数少ないバンドゥリストの一人として、国内ツアーの開催やライブハウスでのパフォーマンスなど精力的な活動を行っている。
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