「北朝鮮危機」対処の処方箋(下)「火星15」が使いものにならない「理由」

執筆者:伊藤俊幸 2017年12月12日
エリア: 北米 アジア
11月29日、「火星15」の発射成功を喜び、ガッツポーズの金正恩党委員長[KCNA提供] (C)EPA=時事

 

 ではなぜ、米国はここまで中国に圧力をかけ続けることができるのか。今回発射されたICBM「火星15」は、とうとう米本土を射程に入れ、米国の直接的な脅威は飛躍的に増大した、と言われているのに、なぜ自ら動かず、北朝鮮問題の解決を中国に任せようとするのか。

 答えは簡単である。米国は、北朝鮮のICBMは米国に届く兵器として完成しない、と判断しているからだ。それは米本土に届くかどうかだけではない。ハワイにもグアムにも核付きミサイルを落とすことなどできない、と見ているのである。

カテゴリ: 政治 軍事・防衛
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執筆者プロフィール
伊藤俊幸(いとうとしゆき) 元海将、金沢工業大学虎ノ門大学院教授、日本戦略研究フォーラム政策提言委員、日本安全保障・危機管理学会理事。1958年生まれ。防衛大学校機械工学科卒業、筑波大学大学院地域研究科修了。潜水艦はやしお艦長、在米国防衛駐在官、第二潜水隊司令、海幕広報室長、海幕情報課長、情報本部情報官、海幕指揮通信情報部長、第二術科学校長、統合幕僚学校長を経て、海上自衛隊呉地方総監を最後に2015年8月退官。
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