先人の「卓見」に学ぶ「中国崩壊論」の正誤

マクロン仏大統領もわざわざ中国語を勉強して急接近しているというが……(C)EPA=時事

 

 昨年末頃から、「中国崩壊論」の崩壊という主張が聞こえるようになった。ここ数年、メディアを盛り上げ書店の店頭を賑わせてきた中国崩壊論ではあるが、中国崩壊の気配は一向に見えないではないか。昨秋の第19回共産党全国大会を経て2期目に入った習近平政権は一強体制を突き進み、一帯一路も中国崩壊論が予想するような破綻を見せてはいない。そればかりか、フランスの大統領すら中国語の学習をはじめたと報じられるほどに一帯一路関係国への影響力を強化しつつ、いわば「中華文明の偉大な復興」の道を歩んでいると見做すべきではないか、ということだろう。

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執筆者プロフィール
樋泉克夫(ひいずみかつお) 愛知県立大学名誉教授。1947年生れ。香港中文大学新亜研究所、中央大学大学院博士課程を経て、外務省専門調査員として在タイ日本大使館勤務(83―85年、88―92年)。98年から愛知県立大学教授を務め、2011年から2017年4月まで愛知大学教授。『「死体」が語る中国文化』(新潮選書)のほか、華僑・華人論、京劇史に関する著書・論文多数。
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