岩瀬昇のエネルギー通信 (16)

2030年には「世界最大輸入国」になる「中国」の「LNG」事情

執筆者:岩瀬昇 2018年2月14日
オーストラリアのガス田「ゴーゴン」からパイプラインでこの施設に貯蔵されるLNGの量は世界最大規模(C)AFP=時事

 

 2013年の秋、とあるパーティの席で商社エネルギー部門の後輩に「東芝は誰と組んでいるのだろうか?」と尋ねたことがある。東芝が米国で年間220万トンの、LNG(液化天然ガス)委託加工契約を締結したとのニュースが流れていたからだ。

 若干、解説を加えておこう。

 2016年の世界の天然ガス生産量は3兆5516億立方メートルで、そのうちの約3割が国際取引されている。さらに国際取引の約7割はパイプラインで、約3割がLNG。すなわち、LNGとして取引されているのは全生産の約1割、3466億立方メートルである。これをLNG換算にすると、約2億5600万トンになる。日本は約8000万トンを輸入しており、現時点では世界最大の輸入国である(「BP統計集2017年版」)。

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執筆者プロフィール
岩瀬昇(いわせのぼる) 1948年、埼玉県生まれ。エネルギーアナリスト。浦和高校、東京大学法学部卒業。71年三井物産入社、2002年三井石油開発に出向、10年常務執行役員、12年顧問。三井物産入社以来、香港、台北、2度のロンドン、ニューヨーク、テヘラン、バンコクの延べ21年間にわたる海外勤務を含め、一貫してエネルギー関連業務に従事。14年6月に三井石油開発退職後は、新興国・エネルギー関連の勉強会「金曜懇話会」代表世話人として、後進の育成、講演・執筆活動を続けている。著書に『石油の「埋蔵量」は誰が決めるのか?  エネルギー情報学入門』(文春新書) 、『日本軍はなぜ満洲大油田を発見できなかったのか』 (同)、『原油暴落の謎を解く』(同)、最新刊に『超エネルギー地政学 アメリカ・ロシア・中東編』(エネルギーフォーラム)がある。
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