ハバナに住む8歳のキンデランは自宅屋上で父親と練習を積んでいる (C)REUTERS

[キューバ発(ロイター)] ハバナのジュニアリーグで活躍する遊撃手のケビン・キンデラン(8)は、チームメイトの一塁手レオニ・ベネゴ(7)とともにスターダムを夢見ている。

 キンデランがキューバの国内リーグでプレーしたいと言う一方で、このところの練習試合で派手な空振り三振を喫しているベネゴは、「メジャーリーグに行ってユリ・グリエルのような選手になりたい」という大きな目標を掲げている。かつてキューバ代表チームの常連だったグリエルは、その後、野球のライバル国アメリカに渡り、現在はヒューストン・アストロズで一塁を守っている。

 野球はキューバの国民的娯楽であり、かつての指導者フィデル・カストロの趣味でもあった。野球での成功は、ますます国境を越えて評価されるようになってきている。それはつまり、社会・経済危機に陥った共産主義の島国からの脱出を意味する。

 公表されている数値を見ると、キューバ経済は2020年に11%縮小し、それ以降の回復はわずかだ。ただでさえコロナ禍に苛まれているうえ、冷戦時代からつづく米国による禁輸措置がさらに首を絞めている。食料・医薬品・燃料を求める長蛇の列が日常の風景と化した結果、米国税関・国境警備局によれば昨年10月以降、15万7000人以上というほぼ前例のない規模のキューバ人が米国へと脱出した。

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