米ニューメキシコ州パーミアン盆地で採掘するエクソンの設備。市場参加者が上流への設備投資減少を見越せば、油価の高騰要因となる   ©︎AFP=時事

「月食は不吉なことが起こる前触れ」と古代インカ帝国では信じられていたが、世界の各地でスーパームーンの皆既月食が観測された2021年5月26日、大手国際石油にとって足元を突き崩されるような「判断」がいくつか下された。

 欧州大手国際石油と一線を画する経営方針を貫いてきた米大手国際石油「エクソンモービル」(エクソン)および「シェブロン」が、それぞれの年次株主総会で地球温暖化対策をより一層強化することを求められたのだ(米大手国際石油と気候変動問題については本欄2020年5月15日『「気候変動問題対応」スーパーメジャー「米欧対照的」と「日本の無関心」』を参照されたい)。

 地球温暖化対策を先導する欧州においては、さらに先鋭的な動きがあった。蘭ハーグ地裁が環境保護団体の訴えを認め、英蘭大手国際石油である「ロイヤル・ダッチ・シェル」(シェル)に対して、温暖化ガス削減目標を強化するよう命令を下した。「シェル」は控訴するとのことだが、これら一連の動きには違和感を覚えることがいくつかある。いや、これが現実なのだと言い聞かせる自分もいるが、それでも何かもやもやしている。

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