岩瀬昇のエネルギー通信 (359)

「高配当」と「環境」の両立を要求する「エネ企業株主」の自己矛盾

執筆者:岩瀬昇 2021年5月31日
エリア: 北米 ヨーロッパ
米ニューメキシコ州パーミアン盆地で採掘するエクソンの設備。市場参加者が上流への設備投資減少を見越せば、油価の高騰要因となる   ©︎AFP=時事
エクソンモービルとシェブロンの株主総会が“画期的”な展開を見せた。欧州系と比較して気候変動問題に一定の距離を置いた米大手国際石油も、その経営方針を転換することになるだろう。さらにオランダでは、ロイヤル・ダッチ・シェルに対してCO2削減強化の命令も。温暖化防止策の徹底は歓迎すべきだが、環境アクティビストの要求と配当狙いの株式保有は、矛盾する要素があるはずだ。

「月食は不吉なことが起こる前触れ」と古代インカ帝国では信じられていたが、世界の各地でスーパームーンの皆既月食が観測された2021年5月26日、大手国際石油にとって足元を突き崩されるような「判断」がいくつか下された。

 欧州大手国際石油と一線を画する経営方針を貫いてきた米大手国際石油「エクソンモービル」(エクソン)および「シェブロン」が、それぞれの年次株主総会で地球温暖化対策をより一層強化することを求められたのだ(米大手国際石油と気候変動問題については本欄2020年5月15日『「気候変動問題対応」スーパーメジャー「米欧対照的」と「日本の無関心」』を参照されたい)。

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執筆者プロフィール
岩瀬昇 1948年、埼玉県生まれ。エネルギーアナリスト。浦和高校、東京大学法学部卒業。71年三井物産入社、2002年三井石油開発に出向、10年常務執行役員、12年顧問。三井物産入社以来、香港、台北、2度のロンドン、ニューヨーク、テヘラン、バンコクの延べ21年間にわたる海外勤務を含め、一貫してエネルギー関連業務に従事。14年6月に三井石油開発退職後は、新興国・エネルギー関連の勉強会「金曜懇話会」代表世話人として、後進の育成、講演・執筆活動を続けている。著書に『石油の「埋蔵量」は誰が決めるのか?  エネルギー情報学入門』(文春新書) 、『日本軍はなぜ満洲大油田を発見できなかったのか』 (同)、『原油暴落の謎を解く』(同)、最新刊に『超エネルギー地政学 アメリカ・ロシア・中東編』(エネルギーフォーラム)がある。
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