【Foresight独占インタビュー】サルマン・アフメド米国務省政策企画部長

「中間層のための外交」で世界に関与する大義を再設定する

執筆者:ブルース・ストークス(Bruce Stokes)2021年7月28日
サルマン・アフメド氏

   サルマン・アフメド(Salman Ahmad)は、アメリカ国務省の政策企画部長。この影響力あるポストの歴代担当者には、著名な外交官が名を連ねる。たとえば冷戦期の対ソ連「封じ込め政策」提唱者であるジョージ・ケナンや、現・大統領補佐官(国家安全保障担当)のジェイク・サリバンなどだ。アフメドは就任前までカーネギー国際平和基金のシニアフェローをつとめ、外交政策がアメリカの中間層により利益をもたらすための、いわゆる「中間層のための外交」を研究していた。それ以前には、国家安全保障会議(NSC)や国連などでも勤務していた人物である。

――バイデン政権の「中間層のための外交」は、アメリカのパワーの国内基盤を強化するものだといわれます。なぜ必要なのでしょうか

   第二次世界大戦後、アメリカが世界で大きな役割を担っていた頃を振り返れば、経済成長率が極めて高く、教育やインフラ、労働力開発などへの公共投資も盛んで、これらはすべて中間層の底上げにつながっていました。また国内の賃金格差は史上最も小さく、他国との経済競争も激しくなかった。さらに冷戦下では、国民をひとつにまとめる脅威がありました。

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