総統選の開票状況を見守りながら与党・民進党の蔡英文総統を応援する支持者(2020年1月、台北) ⓒEPA=時事

 尖閣諸島や台湾は、アメリカの上下院議員の多くにとっては「遠い存在」でしかない。中国を念頭に置いた尖閣諸島や台湾の地理的、政治的な重要性を説明してもピンとこない議員が圧倒的に多いのが実情だ。しかし、米軍は議会の承認がなければ継続的な派遣ができない。菅義偉前総理が臨んだ先の日米首脳会談でも「台湾海峡の安定」が盛り込まれたが、国務省レベルまではスムーズに理解が得られても、この危機感が議会に浸透するまでには非常に時間がかかった。台湾海峡が同盟国である日本のシーレーンだと知っている議員はほとんどいない。さらに言うなら、韓国にとっては日本以上に大事なシーレーンである事実はこのこと以上に知られていない。

 もはやアメリカはかつての超大国ではない。米軍がアフガニスタンから撤収する際、ジョー・バイデン大統領は、「自分の国を守らない軍隊とはともに戦わないし、命をかけることもない」と明言した。尖閣諸島も台湾も、日本は「自分のこと」として主体的に絵を描き、そこにアメリカを引っ張り込むという形が大切だ。日本は東シナ海の安全保障のあり方、とりわけ台湾有事において、どういう役割や責任を果たせるかが問われている。

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