野党提出の「領域警備法案」は尖閣防衛に役立つか

執筆者:伊藤俊幸 2021年8月11日
エリア: アジア
尖閣・魚釣島周辺を巡航する海上保安庁の巡視船 ©時事
尖閣諸島をめぐる日中の緊張激化に備えるべく、領海警備を強化する法改正案を野党3党が提出した。それぞれの法案がもたらす実際の“効果”を、海洋安全保障に精通する元海将が検証する。

 

 今年1月、中国において成立した『海警法』を受け、わが国においても主に尖閣諸島をめぐる日中間の緊張激化を想定して、新たな法整備を模索する動きが出ている。自民党は4月までにかなりの議論を行ったが、国防部会と国土交通部会が対立したため、新たな法整備は結局断念した。一方、今年6月、複数の野党が閉会間際の第204回通常国会にそれぞれ法案を提出した。立憲民主党の『領域警備・海上保安体制強化法案』と、国民民主党と日本維新の会が共同提案した『領域警備強化法案』である。

カテゴリ: 政治 軍事・防衛
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執筆者プロフィール
伊藤俊幸(いとうとしゆき) 元海将、金沢工業大学虎ノ門大学院教授、日本戦略研究フォーラム政策提言委員、日本安全保障・危機管理学会理事。1958年生まれ。防衛大学校機械工学科卒業、筑波大学大学院地域研究科修了。潜水艦はやしお艦長、在米国防衛駐在官、第二潜水隊司令、海幕広報室長、海幕情報課長、情報本部情報官、海幕指揮通信情報部長、第二術科学校長、統合幕僚学校長を経て、海上自衛隊呉地方総監を最後に2015年8月退官。
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