「海軍」視点から見る「プーチンの戦争」の不合理と脆さ

ウクライナの南部には黒海が広がり、そこではロシアの艦隊が活動している ©2022 Google
南東部とキエフ方面で「まったく異なる戦い方」
今回のロシアによるウクライナ侵略について筆者は、軍事的合理性を欠いた、専ら政治的な動機だけで始められた戦争とみている。その証拠に、開戦に先立つ今年1月31日、退役軍人でつくる「全ロシア将校の会」はHPで、ウクライナ侵攻を思いとどまり、ウラジーミル・プーチン(以後呼び捨てにする)退陣を強く求める声明を発表した。会長のレオニード・イワショフ退役大将(78歳)は、元々NATOの東方拡大反対論者の保守派だが、「キエフを占領したら、何年も滞在する必要がある」「数万人の若いロシア兵士が死ぬ」とラジオでも語り、開戦したら泥沼化することを予想していた。現実にロシア軍は、開戦から約1カ月が経っても首都キエフを攻略すらできず、ロシアは国際的孤立に陥った。

「フォーサイト」は、月額800円のコンテンツ配信サイトです。簡単なお手続きで、サイト内のすべての記事を読むことができます。
フォーサイト会員の方はここからログイン