ショルツ首相のウクライナ危機への対応に注目が集まる(C) AFP=時事

 

 ドイツのオーラフ・ショルツ首相による社会民主党(SPD)、緑の党、自由民主党(FDP)の3党連立新政権が発足してからまだ2カ月ほどしか経っていないが、ヨーロッパの置かれた安全保障状況はウクライナ危機によって抜き差しならないものになっている。

 その渦中で、ショルツ政権が前メルケル政権から引き継いだ「宿題」がにわかに重みを増している。ロシアとの天然ガスパイプライン「ノルドストリーム2」を巡っては、米国と激しい応酬が続いている。同時に、ウクライナにかけられたロシアの軍事的圧力を目の当たりにしたバルト三国や周辺の東欧諸国は、改めてアメリカの防衛コミットメントの強化を求めている。ロシアの更なる暴虐を許さないためには、どのような防衛体制が必要かがこれから議論され、その中では当然、NATO(北大西洋条約機構)にとっての核兵器やミサイルの位置づけも検討されるだろう。

 今回の連立を形成した3党は、NATOとの「核共有」という形で配備されているアメリカの核兵器の撤去や、アメリカが反対する核兵器禁止条約へのオブザーバー参加に前のめりの姿勢を見せてきた。ドイツとNATOの将来をも左右しかねないショルツ政権の核政策について考察したい。

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