権力集中を求める習近平の前には鄧小平が立ちはだかっている (C)REUTERS/Jason Lee

   2012年11月15日、習近平政権が誕生した。同月29日に「中国の夢」を打ちだし、12月31日には党建設と反腐敗を進める意図表明をした。翌年の1月22日には、ついに「中国の夢」の実現の前提として「反腐敗」を全面的にやると宣言した。しかも「トラもハエもたたく」と大見得を切り、江沢民を背景とする既得権益層に宣戦布告をしたのだ。これには筆者も驚いた。実績もバックも足りない習近平が、こんなに早く、これほど大きな目標を打ちだしてしまったからだ。

   実は習近平は相当準備をしてきていたのだが(本欄『習近平は「党中央の核心」から「全党の核心」へ:「歴史決議」に仕込まれた権力集中への布石』参照)、あの当時、そこまでは見えなかった。習近平の動きは、それほど非現実的な「夢」に見えたのだ。それは胡錦濤、江沢民を超えて鄧小平と並ぶという、習近平の野心の現れと映った。そのころ北京で、「鄧小平と並ぶどころか、それを超え、毛沢東も超えたいと思っている」という「街の噂」を耳にしたが、筆者は一笑に付した。

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