一部専門家の仮説レベルで国の政策が決まって行く構図にもメスを入れる必要がある(記者会見する新型コロナウイルス感染症対応に関する有識者会議の永井良三座長=6月21日) (C )時事

 6月15日、政府が設置した「新型コロナウイルス感染症対応に関する有識者会議(座長:永井良三・自治医科大学学長)」の提言がまとまった。報告書には「ワクチン等の開発の促進 ・基礎研究を含む研究環境の整備」が取り上げられ、「平時から研究開発・生産体制を強化し、迅速な開発・供給を可能にする体制の構築を図っていく」ことが盛り込まれた。

 この提言を受け6月17日、政府は総理大臣直轄の「内閣感染症危機管理庁」を新設する方針を決めた。パンデミック時に司令塔の役割を期待するそうだ。政府発表前の5月末の報道では、この組織の長は、医系技官トップの医務技監が兼務する。また、国立国際医療研究センターと国立感染症研究所を一体化し、「日本版CDC」を立ち上げるという。

 政府の権限を強化する動きは、これが初めてではない。3月には、ワクチン開発を推進する司令塔組織として、「先進的研究開発戦略センター(SCARDA)」が、日本医療研究開発機構(AMED)内に設置され、初代センター長には、医師で元名古屋大学総長の濱口道成氏が就任した。

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