医療崩壊 (64)

日本アカデミアがコロナ研究をできない憂うべき実態と、その敵

執筆者:上昌広 2022年7月1日
エリア: アジア
一部専門家の仮説レベルで国の政策が決まって行く構図にもメスを入れる必要がある(記者会見する新型コロナウイルス感染症対応に関する有識者会議の永井良三座長=6月21日) (C )時事
「内閣感染症危機管理庁」「日本版CDC」と、“次のパンデミック”に備える政府の危機管理体制作りが進んでいる。その議論自体は望ましいが、すべての基盤のはずの研究開発を妨げてきた医系技官や国立感染症研究所などによる情報独占問題が手付かずだ。

 6月15日、政府が設置した「新型コロナウイルス感染症対応に関する有識者会議(座長:永井良三・自治医科大学学長)」の提言がまとまった。報告書には「ワクチン等の開発の促進 ・基礎研究を含む研究環境の整備」が取り上げられ、「平時から研究開発・生産体制を強化し、迅速な開発・供給を可能にする体制の構築を図っていく」ことが盛り込まれた。

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執筆者プロフィール
上昌広(かみまさひろ) 特定非営利活動法人「医療ガバナンス研究所」理事長。 1968年生まれ、兵庫県出身。東京大学医学部医学科を卒業し、同大学大学院医学系研究科修了。東京都立駒込病院血液内科医員、虎の門病院血液科医員、国立がんセンター中央病院薬物療法部医員として造血器悪性腫瘍の臨床研究に従事し、2016年3月まで東京大学医科学研究所特任教授を務める。内科医(専門は血液・腫瘍内科学)。2005年10月より東京大学医科学研究所先端医療社会コミュニケーションシステムを主宰し、医療ガバナンスを研究している。医療関係者など約5万人が購読するメールマガジン「MRIC(医療ガバナンス学会)」の編集長も務め、積極的な情報発信を行っている。『復興は現場から動き出す 』(東洋経済新報社)、『日本の医療 崩壊を招いた構造と再生への提言 』(蕗書房 )、『日本の医療格差は9倍 医師不足の真実』(光文社新書)、『医療詐欺 「先端医療」と「新薬」は、まず疑うのが正しい』(講談社+α新書)、『病院は東京から破綻する 医師が「ゼロ」になる日 』(朝日新聞出版)など著書多数。
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