第二次岸田内閣の顔ぶれから見えてくる妙手とは(C)時事


「思ったより巧妙だ」。

 8月10日に発足した第2次岸田改造内閣の顔ぶれをみて、自民党の重鎮はこううなった。

 岸田文雄首相は今回の人事で、「ポスト岸田」と目される実力者を閣内や党4役で競わせるように配置しただけでなく、菅義偉前首相に近い非主流派の面々も取り込んでみせた。安倍晋三元首相の死去で動揺が続く党内最大派閥・安倍派のコントロールに乗り出す様子もみられる。首相の妙手は、今後、党内力学にも大きな影響を与えそうだ。

首相支持派に落とし込まれた安倍派

 今回の陣容をみると、次期首相候補と目される面々が、それぞれのライバルとともに配置された点が特徴として浮かび上がる。

 安倍派では、領袖だった安倍氏が生前、「将来の日本を背負う存在」と語っていた萩生田光一氏と西村康稔氏をそれぞれ党政調会長、経済産業相に起用した。

 首相は人事の3日前となる7日午後、首相公邸に安倍派の代表として萩生田氏を呼び寄せ、改造に向けた同派の希望をきいた。首相は、安倍派の中で萩生田氏を重視する姿勢を示した形だ。一方で西村氏を登用しただけでなく、昨年の総裁選で安倍氏が後ろ盾になった高市早苗氏も経済安全保障担当相として閣内に取り込んだ。

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