最高人民会議での演説で、憲法条文への「核戦力」保有明記を誇示した金正恩(右下)[『わが民族同士』HPより)
 

 7月下旬から金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長の動静報道が相次いでいたが、ここにきてようやく落ち着きを見せている。

 9月28日付は、26日と27日の両日開催された最高人民会議第14期第9回会議について報じた。金正恩もオブザーバーとして出席して「意義深い演説」を行った。金正恩は、2019年4月の憲法改正によって今期から代議員から外れているが、2019年4月2021年9月2022年9月には出席して「施政演説」を行ってきた。

 演説では、今年最大の成果が「国家防衛力、核戦争抑止力の強化において飛躍の全盛期を確固として開いたこと」にあると位置づけられ、「憲法に新時代のわれわれの国力の実状を反映する事業を成功裏に行った」とされた。核開発を進める現状を憲法条文に刻んで「核保有国」であることを再確認したのである。

 北朝鮮憲法では、2012年4月の改正で既に「核保有国」であることが明記されていたが、あくまでも前年末に死去した金正日(キム・ジョンイル)国防委員長の業績として序文で触れられたのみである。今回は、「朝鮮民主主義人民共和国は、全人民的、全国家的防衛体制に依拠する」と規定する第58条に、「核兵器の発展を高度化して国の生存権と発展権を保証して戦争を抑止し、地域と世界の平和と安定を守るという内容」を明記したという。

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