
マリーヌ・ルペンの言葉をそのまま繰り返すバルデラは、党内で「サイボーグ」と揶揄されたという[欧州議会本会議での討論に出席したバルデラ=2024年7月17日、フランス東部ストラスブール](C)AFP=時事
フランスで、6月末から7月初めにかけて実施された総選挙の後の混乱が収まらない。大統領エマニュエル・マクロン(46)の与党連合「アンサンブル」、左派左翼連合「新人民戦線」、右翼「国民連合」のそれぞれが議席を3分し、多数派が形成できないのである。首相ガブリエル・アタル(35)が率いる選挙前の内閣は総辞職したものの、後任が決まらないまま、7月26日には五輪に突入した。欧州連合(EU)を牽引する立場にあるフランス政治の混迷は、ロシア・ウクライナ戦争への対応を含む欧州全体の外交や安全保障にも影響しかねない。
この問題は何に起因するのか。総選挙の経緯も含めて振り返った。
28歳首相候補の故郷を訪ねる
マクロンが国民議会(下院)の解散を表明し、選挙戦が始まったのは、6月9日に投開票があった欧州議会選で、国民連合の大躍進が確定した直後だった。
国民連合は6月中、その勢いを維持し、国民議会で初の第一党となるとの予想が大勢を占めていた。果たして、議会の過半数を占めて絶対多数を獲得するか、第1党ながら過半数には及ばないか。選挙の焦点はそこに絞られた。
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