米国務省「政軍関係次官補」のリビア、エジプト、サウジ訪問

池内恵
執筆者:池内恵 2011年12月13日

 米国務省の政軍関係担当次官補(Assistant Secretary of State for Political-Military Affairs)のアンドリュー・シャピーロ(Andrew J. Shapiro)がアラブ諸国を訪問している。国務省のプレスリリースによれば12月9日から15日にかけて、リビア、エジプト、サウジアラビアを歴訪するという。
http://www.state.gov/r/pa/prs/ps/2011/12/178600.htm

 政軍関係担当次官補は、アラブ諸国の激変を受けて重要性を増すポストだ。大規模デモの圧力を受けて政権が揺らいだアラブ諸国において、軍の動向はその帰結に決定的な意味を持った。チュニジアでは軍が中立を保ち、ベンアリー逃亡後は残存するベンアリー側近部隊を制圧した。これが早期の安定化につながった。エジプトでは軍がデモに発砲しないと宣言したことが反体制抗議行動を勢いづけ、軍による治安維持に支えられた移行過程に入った。いずれも軍が制度として一体性を保った。

 対照的にリビア、イエメン、シリア、バーレーンでは、軍が強固に政権側についてデモ隊への激しい弾圧が行われた。リビアでは軍が分裂して内戦に陥った上で政権が崩壊した。イエメンやシリアでも同様の動きが進むのか、注目されている。

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執筆者プロフィール
池内恵
池内恵 東京大学先端科学技術研究センター准教授。1973年生れ。東京大学大学院総合文化研究科地域文化研究専攻博士課程単位取得退学。日本貿易振興機構アジア経済研究所研究員、国際日本文化研究センター准教授を経て、2008年10月より現職。著書に『現代アラブの社会思想』(講談社現代新書、2002年大佛次郎論壇賞)、『イスラーム世界の論じ方』(中央公論新社、2009年サントリー学芸賞)、『イスラーム国の衝撃』(文春新書)、本誌連載をまとめた『中東 危機の震源を読む』などがある。個人ブログ「中東・イスラーム学の風姿花伝」(http://ikeuchisatoshi.com/)。
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