「金総書記死去を察知した情報機関はない」

名越健郎
執筆者:名越健郎 2011年12月25日
カテゴリ: 国際 政治
エリア: ロシア 朝鮮半島

「インテリジェンスの部屋」の「金総書記の死、51時間掴めず。対北朝鮮情報監視の不備露呈」は興味深い分析だったが、12月19日に発表された北朝鮮の金正日労働党総書記の死去で、ロシアには事前通報がなかったことが判明した。

 在京ロシア大使館幹部は、「ロシアに事前通報があったとは聞いていない。ジャーナリストと同着だったのでは」と述べた。ロシア情報機関、対外情報局(SVR)のフラトコフ長官も24日、ウラジオストクのテレビ局との会見で、「世界のすべての情報機関がその一報を察知できなかった」と語った。

 韓国紙・中央日報が、北朝鮮は死亡直後の17日に中国当局に通報したと報じるなど、中国だけが事前に知っていた可能性が強まっている。故金総書記は8月末にシベリアのウランウデを訪れ、メドベージェフ大統領と首脳会談を行ったが、北朝鮮にとって、ロシアは中国より「格下」だった。

 フラトコフ長官は2004-07年に首相を務めた後、スパイ組織のトップに就任。今年5月に平壌を訪れて金総書記と会談し、5万トンの食糧支援や経済プロジェクト、核問題を協議した。

 同長官は会見で、「金総書記の死亡情報は報道で知った。今、多くの北朝鮮情報が飛び交っており、情報機関は(死亡情報を抜けなかった)失敗の穴埋めをしようと必死だ」と述べ、「今は、北朝鮮で何が起きているかすべて掌握している。露朝間には、政治、外交だけでなく、情報機関レベルでかなりの関係がある」と指摘。情報機関同士の交流が良好であることを強調した。

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執筆者プロフィール
名越健郎
名越健郎 1953年岡山県生れ。東京外国語大学ロシア語科卒業。時事通信社に入社、外信部、バンコク支局、モスクワ支局、ワシントン支局、外信部長を歴任。2011年、同社退社。現在、拓殖大学海外事情研究所教授。国際教養大学東アジア調査研究センター特任教授。著書に『クレムリン秘密文書は語る―闇の日ソ関係史』(中公新書)、『独裁者たちへ!!―ひと口レジスタンス459』(講談社)、『ジョークで読む国際政治』(新潮新書)、『独裁者プーチン』(文春新書)など。
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