「バチカン銀行の闇」スキャンダル第2幕へ

執筆者:秦野るり子 2012年7月23日
エリア: ヨーロッパ

「バチカン銀行」総裁を5月末に解任されたエトレ・ゴティテデスキ氏が、今度はイタリア司法当局の家宅捜索を受けてバチカン銀行の内部情報を記したメモを押収され、「命の危険を感じる」とおびえている。メモによって、バチカン銀行とこれを不正利用する者とのつながりが明らかになり、それによって不利益を被る何者かに報復されると恐れていると報じられているのである。ミステリー小説のような展開は、30年前に死者までが出たバチカン銀行の大スキャンダルを髣髴とさせる。今年1月の機密情報漏洩事件(バチリークス)から始まったバチカンのスキャンダルは第2幕を迎えた。

カテゴリ: 経済・ビジネス
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執筆者プロフィール
秦野るり子(はたのるりこ) 1957年東京生まれ。江戸川大学教授。1982年、読売新聞社入社。経済部に配属され、農水省、流通業界、通産省(現経産省)、日銀などを担当。89年に国際部へ異動。ワシントン、ジャカルタ、ローマ特派員、国際部デスクなどを経て2008年から調査研究本部主任研究員。コロンビア大学ジャーナリズム大学院客員研究員、カリフォルニア大学バークレー校ジャーナリズム大学院客員講師も務め、2016年から富山国際大学教授、2019年から現職。著書に『ローマ法王2年目の挑戦』(読売新聞社)、『バチカン』(中公新書ラクレ)、『悩めるローマ法王 フランシスコの改革』 (中公新書ラクレ)などがある。
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