「ブランドの帝王」ベルギー国籍申請の怪しさ

国末憲人
執筆者:国末憲人 2012年9月21日
カテゴリ: 経済・ビジネス 国際
エリア: ヨーロッパ

「ルイ・ヴィトン」と言えば「4割の家庭が持っている」との俗説があるほど日本で人気のブランドだ(我が家にはありませんが)。セリーヌやジバンシィ、香水のゲラン、シャンパーニュのドン・ペリニヨンなどとともに、高級ブランド世界最大手のグループ「LVMH」(モエ ヘネシー・ルイ ヴィトン)の傘下にあると知る人も多いだろう。


グループを率いるのは、フランス人実業家ベルナール・アルノー氏である。米フォーブス誌によると資産額410億ドルで、欧州随一、世界で4番目の富豪と位置づけられる彼が今、母国でスキャンダルの渦中にある。


エレガントな振る舞いと冷酷な経営判断から「カシミヤを着た狼」と呼ばれるアルノー氏は、LVMHというブランド帝国を一代で築いた経営の天才だと、しばしば信じられてきた。実際には、彼はLVMHの創業者でも何でもない。仏エリート養成校の理工科学校(エコール・ポリテクニック)を卒業し、家業である仏北部の建設会社を継いだ彼は、老舗ブランドながら傾きかけていたクリスチャン・ディオールを買収し、ブランドの世界にかかわった。続いて、当時内紛に陥っていたLVMHの経営陣に近づき、提携と見せかけて買収を図り、成功した。有り体に言えば、乗っ取ったのである。

この記事は役に立ちましたか?
フォーサイト最新記事のお知らせを受け取れます。
この記事をSNSにシェアする
執筆者プロフィール
国末憲人
国末憲人 1963年生れ。85年大阪大学卒。87年パリ第2大学新聞研究所を中退し朝日新聞社に入社。富山、徳島、大阪、広島勤務を経て2001-04年パリ支局員。外報部次長の後、07-10年パリ支局長を務め、GLOBE副編集長、本紙論説委員のあと、現在はGLOBE編集長。著書に『自爆テロリストの正体』(新潮新書)、『サルコジ―マーケティングで政治を変えた大統領―』(新潮選書)、『ポピュリズムに蝕まれるフランス』『イラク戦争の深淵』(いずれも草思社)、『ポピュリズム化する世界』(ダイヤモンド社)、共著書に『テロリストの軌跡―モハメド・アタを追う―』(草思社)などがある。
comment:1
icon
  • 記事の閲覧、コメントの投稿には、会員登録が必要になります。
フォーサイトのお申し込み
注目記事ランキング
  • 24時間
  • 1週間
  • f
  • 新着
  • 高評価
  • コメント数順