北朝鮮「新年の辞」を読む(上)経済改革は大幅に後退か

平井久志
執筆者:平井久志 2013年1月16日
カテゴリ: 国際
エリア: 朝鮮半島
 「新年の辞」の演説を行なう金正恩氏 (C)AFP=時事
「新年の辞」の演説を行なう金正恩氏 (C)AFP=時事

 金正恩(キム・ジョンウン)第1書記は、元日に肉声演説で北朝鮮の施政方針演説ともいうべき「新年の辞」を発表した。父・金正日(キム・ジョンイル)総書記は演説が嫌いで、労働新聞などの新年共同社説を毎年発表してきた。北朝鮮の最高指導者による「新年の辞」発表は、祖父の金日成(キム・イルソン)主席が1994年元日に行なって以来19年ぶりだ。

「新年の辞」のポイントは「経済強国建設」と「南北関係改善」にあった。

 金日成主席のパフォーマンスを真似た肉声演説だったが、内容的には新指導者の新しい時代の出発を予告するような斬新さや踏み込んだ内容はなかった。

 北朝鮮は昨年、金日成主席誕生100周年を迎えた。北朝鮮が使っている「主体年号」では昨年は「主体101年」であった。昨年の元日は従来の新年共同社説が発表された。その直前に父・金正日総書記が亡くなったので、準備していた共同社説に若干の手を入れるレベルの内容でしかなかったことは理解できる。

 しかし、今年の元日は「金日成主席と金正日総書記の100年」が終わり、新たな「金正恩第1書記の新世紀」がスタートする日であっただけに、その内容面での貧困さは金正恩後継体制が直面している困難を露呈したともいえる。

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執筆者プロフィール
平井久志
平井久志 ジャーナリスト。1952年香川県生れ。75年早稲田大学法学部卒業、共同通信社に入社。外信部、ソウル支局長、北京特派員、編集委員兼論説委員などを経て2012年3月に定年退社。現在、共同通信客員論説委員。2002年、瀋陽事件報道で新聞協会賞受賞。同年、瀋陽事件や北朝鮮経済改革などの朝鮮問題報道でボーン・上田賞受賞。 著書に『ソウル打令―反日と嫌韓の谷間で―』『日韓子育て戦争―「虹」と「星」が架ける橋―』(共に徳間書店)、『コリア打令―あまりにダイナミックな韓国人の現住所―』(ビジネス社)、『なぜ北朝鮮は孤立するのか 金正日 破局へ向かう「先軍体制」』(新潮選書)『北朝鮮の指導体制と後継 金正日から金正恩へ』(岩波現代文庫)など。
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