“熱帯への進軍”最前線を歩く(3) ミャンマーから昆明への“援習ルート”

樋泉克夫
 
 上図の赤枠内を拡大したのが下図
上図の赤枠内を拡大したのが下図

 中国紙の「新京報」(6月5日)が、ミャンマーのチャウピューを発し、同国内を東北方向に斜めに走り雲南省の省都である昆明を結ぶ天然ガス・パイプライン工事が完成し、すでに稼動可能状態にあることを伝えた。並行する原油・パイプラインも数カ月以内には完成の見込みだ。天然ガス・パイプラインは昨年の輸入量の4分の1前後の年間120億立方メートルの輸送能力を持つ。

 援蔣ルートならぬ“援習(近平)ルート”が、いよいよ動き出す。いまマラッカ・ジレンマの克服という中国にとっての長年の悲願が達成されようとしている。

 そこで、カンボジアで体感した中国による“熱帯への進軍”の現状を論ずる前に、援習ルートが通過する滇西での2012年4月末から5月初頭にかけての体験を、歴史的経緯を踏まえながら些か詳細に綴っておきたい。なぜなら、雲南西部――ミャンマーを結ぶルートで起こったことは、四川・重慶からラオス経由でカンボジアに繋がるルート上で近い将来に見られる可能性が高いからだ。このルートが第2の援習ルートにならないと、誰が断言できるだろうか。

 

歴史にifはないが……

 車は、かつての援蔣ルートである滇緬公路を遠くに近くに眺めながらミャンマーとの国境関門のある畹町へ向かって南下する。車窓から眼を遣ると、連結を待つ天然ガスと原油輸送管の列が右に左に延々と続く。

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執筆者プロフィール
樋泉克夫
樋泉克夫 愛知大学教授。1947年生れ。香港中文大学新亜研究所、中央大学大学院博士課程を経て、外務省専門調査員として在タイ日本大使館勤務(83―85年、88―92年)。98年から愛知県立大学教授を務め、2011年より現職。『「死体」が語る中国文化』(新潮選書)のほか、華僑・華人論、京劇史に関する著書・論文多数。
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