「汚染水」「新たな風評被害」に立ち向かう福島の浜

寺島英弥
執筆者:寺島英弥 2013年9月25日
カテゴリ: IT・メディア 政治 社会
エリア: 日本

「ブエノスアイレスで『健康への被害はない。安心してほしい』と世界に発信した。国民への影響を阻止するため過酷な状況で作業する皆さんを目の当たりにし、責任を果たしていかなければならないとの思いを新たにした」「福島第1原発の事故処理、汚染水処理は国が前面に出て私が責任者として対応したい。汚染水の影響は湾内でブロックされている」

 安倍晋三首相は9月19日、就任後2度目となる福島第1原発視察を行ない、こう発言したと報道は伝えた。その上で、廃炉が決まっている1-4号機に続いて、5、6号機の廃炉を「事後処理に集中するために決定してほしい」と、その場で東京電力の社長に要請したという。

 

締め出された地元記者

 その場面を、原発事故被災地の取材を日々続けてきた福島の記者たちは見ていない。同行した在京の首相番記者や海外メディアが取材した現場は、地元の地方紙やテレビには開かれていなかった。河北新報の福島の同僚は、「ブエノスアイレスでの(五輪招致演説の)『状況をコントロールしている』発言など、首相に聞きたいのはやまやまだったが、できなかった」と語った。翌20日の福島民友の解説記事も「被災地の地元報道陣に直接取材する機会を設けなかったことには大いに疑問が残る」と指摘した。汚染水だけでなく、県内の全基廃炉を一貫して訴えてきたのは福島県や県議会、地元自治体であったのに、現場に当事者は不在だった。

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執筆者プロフィール
寺島英弥
寺島英弥 河北新報編集委員。1957年福島県生れ。早稲田大学法学部卒。東北の人と暮らし、文化、歴史などをテーマに連載や地域キャンペーン企画に長く携わる。「こころの伏流水 北の祈り」(新聞協会賞)、「オリザの環」(同)、「時よ語れ 東北の20世紀」など。フルブライト奨学生として2002-03年、米デューク大に留学。主著に『シビック・ジャーナリズムの挑戦 コミュニティとつながる米国の地方紙』(日本評論社)、『海よ里よ、いつの日に還る』(明石書店)。3.11以降、被災地における「人間」の記録を綴ったブログ「余震の中で新聞を作る」を更新中。
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