尋問は「役者としての才能」が問われる――離婚裁判の流れ4

執筆者:藤沢数希 2013年10月26日
カテゴリ: 文化・歴史 社会

 さて、ここまでは双方の弁護士と裁判官で話が進んできており、原告も被告も裁判所に行くことは和解交渉のとき以外はないのだが、尋問は本人が行かないといけない。尋問されるのは相手を訴えている原告、訴えられている被告、そして第三者が証拠についてなんらかの証言をしてくれるならさらに証人が加わる。 裁判官は法廷の奥の一段高いところから我々を見下ろしている。裁判官の前には書記官や見習いの裁判官などが数人座っている。そして、法廷の右と左に、それぞれ原告とその弁護士、被告とその弁護士に分かれて座っている。証言をする人が真ん中の席に行き、そこで嘘偽りを決して言わないことを宣誓させられたあとに、質問に答えていくのである。ここまでの様子はドラマの中で出てくる裁判と同じである。 しかし、法廷ドラマでの尋問シーンは、お互いの弁護士が雄弁に論争し、裁判官が真実にハッと気付き、被告や原告が涙を流したりするのだが、これは実際の尋問とはまるで違う。まず、尋問で弁護士同士が議論を戦わせるということは原理上ありえないし、また、原告や被告同士が議論することもない。 まずは、尋問に先立ち、原告、被告の双方が陳述書を裁判所に提出する。これはいままで毎月積み上げてきた電話帳数冊分の書面のなかの要点を、まるで本人がしゃべっているような口語調に変えただけのものだ。尋問は、基本的には、これらの陳述書の内容に即して進んでいく。

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執筆者プロフィール
藤沢数希 理論物理学、コンピューター・シミュレーションの分野で博士号取得。欧米の研究機関で研究職に就いた後、外資系投資銀行に転身。以後、マーケットの定量分析、経済予測、トレーディング業務などに従事。また、高度なリスク・マネジメントの技法を恋愛に応用した『恋愛工学』の第一人者でもある。月間100万PVの人気ブログ『金融日記』の管理人。著書に『なぜ投資のプロはサルに負けるのか?』(ダイヤモンド社)『日本人がグローバル資本主義を生き抜くための経済学入門』(同)『「反原発」の不都合な真実』(新潮社)『外資系金融の終わり―年収5000万円トレーダーの悩ましき日々』(ダイヤモンド社)など。
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