トルコが上海協力機構に加盟を希望

池内恵
執筆者:池内恵 2013年11月23日
カテゴリ: 国際 外交・安全保障
エリア: ロシア 中東

 トルコのエルドアン首相が11月22日、サンクト・ペテルブルクを訪問してプーチン大統領と会談した。シリア問題では立場の相違を確認したものの、雰囲気は良好だった。ここでエルドアン首相は「上海協力機構(SCO)」への加盟の意思を表明した。政府としての正式な申請ということではないものと見られ、実際に加盟の手続きがすぐに進むとは思えないが、首相自らが公の場で公言するのは興味深い。いうまでもなくトルコはNATOの一員である。それが、米国への対抗をあからさまにした上海協力機構への加盟を掲げている。

 トルコは9月26日には、中国製の防空システムを導入すると発表して各国驚かせている。防空システムの入札の結果、「中国精密機械輸出入総公司」(CPMIEC)との共同開発へ向けて交渉を開始した、と発表したのだ。トルコにはNATOの欧州ミサイル防衛(MD)の早期警戒レーダーが配備される予定であり、シリアからのミサイル飛来への対処のためにNATOのパトリオット地対空ミサイルの配備も進んでいる。ところが同時に、米国からは大量破壊兵器拡散に関連して制裁の対象となっているCPMIECへの落札を発表したのである。互換性のない二つの防空システムが併設されるなど前代未聞であり、情報の流出も危惧される。

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執筆者プロフィール
池内恵
池内恵 東京大学先端科学技術研究センター准教授。1973年生れ。東京大学大学院総合文化研究科地域文化研究専攻博士課程単位取得退学。日本貿易振興機構アジア経済研究所研究員、国際日本文化研究センター准教授を経て、2008年10月より現職。著書に『現代アラブの社会思想』(講談社現代新書、2002年大佛次郎論壇賞)、『イスラーム世界の論じ方』(中央公論新社、2009年サントリー学芸賞)、『イスラーム国の衝撃』(文春新書)、本誌連載をまとめた『中東 危機の震源を読む』などがある。個人ブログ「中東・イスラーム学の風姿花伝」(http://ikeuchisatoshi.com/)。
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