トルコのエルドアン首相が11月22日、サンクト・ペテルブルクを訪問してプーチン大統領と会談した。シリア問題では立場の相違を確認したものの、雰囲気は良好だった。ここでエルドアン首相は「上海協力機構(SCO)」への加盟の意思を表明した。政府としての正式な申請ということではないものと見られ、実際に加盟の手続きがすぐに進むとは思えないが、首相自らが公の場で公言するのは興味深い。いうまでもなくトルコはNATOの一員である。それが、米国への対抗をあからさまにした上海協力機構への加盟を掲げている。
トルコは9月26日には、中国製の防空システムを導入すると発表して各国を驚かせている。防空システムの入札の結果、「中国精密機械輸出入総公司」(CPMIEC)との共同開発へ向けて交渉を開始した、と発表したのだ。トルコにはNATOの欧州ミサイル防衛(MD)の早期警戒レーダーが配備される予定であり、シリアからのミサイル飛来への対処のためにNATOのパトリオット地対空ミサイルの配備も進んでいる。ところが同時に、米国からは大量破壊兵器拡散に関連して制裁の対象となっているCPMIECへの落札を発表したのである。互換性のない二つの防空システムが併設されるなど前代未聞であり、情報の流出も危惧される。
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