シリア問題を「対テロ戦争」にすり替えようと試みるアサド政権

執筆者:池内恵 2014年1月23日
エリア: 中東

1月22日から、スイスのモントルーで、シリア問題をめぐるジュネーブⅡ会議が開かれている

2012年6月に、米露を含む主要国がシリア問題への解決策をめぐって、玉虫色の「ジュネーブ合意」を結んだ。この合意の趣旨は、内戦の当事者に挙国一致の新政権を目指して国際社会の仲介の下で話し合うように要請したものだが、「誰が当事者なのか」「実際に現地で影響力のある勢力が参加するのか」「アサド大統領の退陣を前提とするか否か」等々について、米露や、アサド政権、反体制勢力のそれぞれが、異なった読み方をできる文書である。

カテゴリ: 軍事・防衛
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執筆者プロフィール
池内恵(いけうちさとし) 東京大学先端科学技術研究センター グローバルセキュリティ・宗教分野教授。1973年生まれ。東京大学大学院総合文化研究科地域文化研究専攻博士課程単位取得退学。日本貿易振興機構アジア経済研究所研究員、国際日本文化研究センター准教授を経て、2008年10月より東京大学先端科学技術研究センター准教授、2018年10月より現職。著書に『現代アラブの社会思想』(講談社現代新書、2002年大佛次郎論壇賞)、『イスラーム世界の論じ方』(中央公論新社、2009年サントリー学芸賞)、『イスラーム国の衝撃』(文春新書)、『【中東大混迷を解く】 サイクス=ピコ協定 百年の呪縛』 (新潮選書)、 本誌連載をまとめた『中東 危機の震源を読む』(同)などがある。個人ブログ「中東・イスラーム学の風姿花伝」(http://ikeuchisatoshi.com/)。
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