「モザイク国家」ウクライナ「劇変」の深層

執筆者:国末憲人 2014年2月25日
エリア: ヨーロッパ
 失脚したヤヌコビッチ大統領だが、いまだに ”仰天シナリオ説”もくすぶっている (C)AFP=時事
失脚したヤヌコビッチ大統領だが、いまだに ”仰天シナリオ説”もくすぶっている (C)AFP=時事

 ウクライナ情勢は、予想を大きく上回る速度で展開した。首都キエフ中心部を占拠したデモ隊と治安部隊との衝突で多数の犠牲者が出たのが2月18日から20日にかけてである。その翌日には野党勢力が実権を握り、大統領のビクトル・ヤヌコビッチは逃亡。22日には獄中にあった野党指導者ユリア・ティモシェンコが釈放されてキエフに戻り、群衆に迎えられた。ヤヌコビッチは自らの支持者からも見捨てられ、失脚が確実だ。群衆が求めた「革命」の勝敗は決したかに見える。

カテゴリ: 政治 軍事・防衛
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執筆者プロフィール
国末憲人(くにすえのりと) 東京大学先端科学技術研究センター特任教授 1963年岡山県生まれ。85年大阪大学卒業。87年パリ第2大学新聞研究所を中退し朝日新聞社に入社。パリ支局長、論説委員、GLOBE編集長、朝日新聞ヨーロッパ総局長などを歴任した。2024年1月より現職。著書に『ロシア・ウクライナ戦争 近景と遠景』(岩波書店)、『ポピュリズム化する世界』(プレジデント社)、『自爆テロリストの正体』『サルコジ』『ミシュラン 三つ星と世界戦略』(いずれも新潮社)、『イラク戦争の深淵』『ポピュリズムに蝕まれるフランス』『巨大「実験国家」EUは生き残れるのか?』(いずれも草思社)、『ユネスコ「無形文化遺産」』(平凡社)、『テロリストの誕生 イスラム過激派テロの虚像と実像』(草思社)など多数。
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