オバマの「サウジ訪問」隠れた争点は「エジプト」

池内恵
執筆者:池内恵 2014年3月27日
エリア: 中東
 3月26日、ベルギーのブリュッセルで講演するオバマ米大統領 (C)EPA=時事
3月26日、ベルギーのブリュッセルで講演するオバマ米大統領 (C)EPA=時事

  米国のオバマ大統領はオランダ・ハーグやベルギー・ブリュッセルなどを歴訪したその足で、3月28日にサウジアラビアのリヤードを訪問する。サウジ訪問では、この厄介な同盟国との緊張を緩和し、同盟の紐帯を結び直せるかが注目される。

 オバマの前回のサウジ訪問は、2009年6月に遡る。期日は6月3日。あの有名になったエジプトの6月4日のカイロ演説の前日である。サウジ訪問の方はほとんど注目されず、短時間立ち寄っただけだった。今となってはオバマの大統領就任の際の対中東政策への期待も、カイロ演説の熱狂も、遠い昔の出来事に感じられる。訪問を派手に宣伝する必要もなかった、安定したサウジとの関係もまた、隔世の感がある。

 

GCC内紛の激化

 訪問を受けるサウジは現在不穏な状態にある。顕著なのは、前例のない次元での湾岸協力会議(GCC)の分裂である。本来は今回のオバマのサウジ訪問に合わせて、GCC諸国の首脳も集い、米・GCC首脳会議が開かれる予定だった。しかしサウジ対カタールの対立を主軸としたGCCの内紛が激化し、首脳同士が同席できる状況ではない。その結果、サウジのアブドッラー国王のみがオバマと会談を行うことになった。

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執筆者プロフィール
池内恵
池内恵 東京大学先端科学技術研究センター准教授。1973年生れ。東京大学大学院総合文化研究科地域文化研究専攻博士課程単位取得退学。日本貿易振興機構アジア経済研究所研究員、国際日本文化研究センター准教授を経て、2008年10月より現職。著書に『現代アラブの社会思想』(講談社現代新書、2002年大佛次郎論壇賞)、『イスラーム世界の論じ方』(中央公論新社、2009年サントリー学芸賞)、『イスラーム国の衝撃』(文春新書)、本誌連載をまとめた『中東 危機の震源を読む』などがある。個人ブログ「中東・イスラーム学の風姿花伝」(http://ikeuchisatoshi.com/)。
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