ブックハンティング・クラシックス
ブックハンティング・クラシックス(15)

「凡庸なフランス」を忌み嫌ったド・ゴールの国家主義的価値観

執筆者:岡崎久彦 2006年4月号
カテゴリ: 国際 書評
エリア: ヨーロッパ

“Memoires”シャルル・ド・ゴール著GALLIMARD 2000年刊 懐かしい本である。 私は一九六二年末から六五年までパリに在勤した。 それはシャルル・ド・ゴールが六二年中に、アルジェリアの独立を認め、総選挙では地滑り的勝利を収め、国民投票で大統領の直接選挙制を達成した直後の、第五共和制の最盛期であった。 それはまたフランスが、六〇年のサハラ砂漠における核実験から六八年の南太平洋の水爆実験にいたるまでの過程として、アメリカの意向に反して着々と核武装と核戦略の理論化を進めていた時期であり、また六六年にはNATO(北大西洋条約機構)本部をパリから追い出してブリュッセルに遷させる前段階としてNATO本部からの要員引き揚げを始めていた時期であった。 そして、その間、六三年にはイギリスのEEC(欧州経済共同体)加盟を拒否し、六四年には中国とは国交を正常化するなど、米国の神経を逆撫でするような対外措置を次々と取っていった時期でもあった。 ド・ゴールの真意が奈辺にあるのか、どこまで行く気があるのか、これは当時の国際政治のウォッチャーが等しく関心を持つテーマであった。 当時大使館の二等書記官であった私もド・ゴールの真意を探ろうと、その一つの方法として五四年に刊行された彼の大戦回顧録を読み耽った。

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