接近する中露「プーチンの苦境」と「習近平の漁夫の利」

名越健郎
執筆者:名越健郎 2014年4月22日
エリア: ロシア 中国・台湾

 ウクライナ問題の渦中にあるロシアのプーチン大統領は4月17日、毎年恒例のテレビ特番で4時間近くウクライナ情勢を中心にしゃべりまくったが、この中で中国を「同盟国」と称したことが気になった。国際的孤立を深めるロシアは一段と中国に傾斜しており、5月下旬に予定されるプーチン訪中が焦点になる。中国はウクライナ領クリミア併合を承認する代わりに、ロシアに尖閣の領有権問題で中国を支持するよう画策しているとの不気味な情報もある。

 

軍事関係も強化へ

 プーチン大統領は中国に関する質問に対し、「中露関係は信頼と協力の点で、前例がないほど成功裏に進展している。政治協力に加え、国際問題や国際安全保障でも意見が一致し、それが政府間関係の基礎になっている。われわれはむろん隣国であり、ある意味で同盟国だ」と述べた。大統領は「軍事、政治的同盟の問題は提起しない」と付け加えたが、ロシア首脳が中国を「同盟国」と称したのは初めて。中国もこうした表現は一切使っていない。

 欧米の制裁を受け、孤立が深まる同大統領は、数少ない友好国・中国との関係を一段と重視しており、思わず飛び出した発言だろう。大統領は、「われわれは中国との関係発展路線を続ける。中国との間でこれほど信頼に満ちた軍事関係を築いたことはなかった。陸海で合同軍事演習を開始したし、中露関係が国際政治の重要なファクターになった」とも述べた。

この記事は役に立ちましたか?
フォーサイト最新記事のお知らせを受け取れます。
この記事をSNSにシェアする
執筆者プロフィール
名越健郎
名越健郎 1953年岡山県生れ。東京外国語大学ロシア語科卒業。時事通信社に入社、外信部、バンコク支局、モスクワ支局、ワシントン支局、外信部長を歴任。2011年、同社退社。現在、拓殖大学海外事情研究所教授。国際教養大学東アジア調査研究センター特任教授。著書に『クレムリン秘密文書は語る―闇の日ソ関係史』(中公新書)、『独裁者たちへ!!―ひと口レジスタンス459』(講談社)、『ジョークで読む国際政治』(新潮新書)、『独裁者プーチン』(文春新書)など。
comment:0
icon
  • 記事の閲覧、コメントの投稿には、会員登録が必要になります。
フォーサイトのお申し込み
価値あるバックナンバー
注目記事ランキング
  • 24時間
  • 1週間
  • f
  • 新着
  • 高評価
  • コメント数順