イラン核開発交渉は延長の見通し、ガザ紛争は置き去りに

池内恵
執筆者:池内恵 2014年7月16日
カテゴリ: 国際 外交・安全保障
エリア: 中東 北米

ウィーンで行われているイラン核開発交渉について、昨日の報告以後の進展をアップデートしておこう。

ケリー国務長官はさらに15日(火)の午前中にもイランのザリーフ外相と会談した。ウィーンを発つ前に記者会見を行ったが、そこで、予定されていたカイロ訪問を取り止め、ワシントンに戻ってオバマ大統領や議会指導者の判断を仰ぐと告げた。

「一定の進展を根拠に延長」が既定路線に

オバマ大統領との協議事項は何だろうか。おそらくは大きな政策転換というよりは、小さな成果を示して交渉期限の延長に承認を得ることが主眼となるのではないかと、記者会見での発言からは、推測される。

ザリーフ外相も、7月20日までの期限に妥結することが最良とする姿勢は表向き変えていないが、妥協できなければ決裂するという姿勢は全く見せておらず、少なくとも「交渉を続けたい」という意志においては全ての交渉当事者が一致している。ザリーフ外相は15日付のニューヨーク・タイムズ紙一面に掲載されたインタビューで「ウラン濃縮の現在の規模を維持してこれ以上の開発は数年間凍結する」という、米側が本国で「進展」を主張して交渉の延長の承認を議会勢力からも勝ち取れる程度の絶妙な範囲の「譲歩」をタイミングよく示していた(さらに言えば、交渉の進展・継続を支持するニューヨーク・タイムズ紙およびその背後のオバマ政権がこの記事を出させたと邪推することも可能だ)。交渉の現場はすでに腹を割った「友好国」同士の会合に等しい和気藹々としたものになっているのではないかと想像される。もちろん最大の難関は双方の本国で権力を持った強硬派たちの説得である。

執筆者プロフィール
池内恵
池内恵 東京大学先端科学技術研究センター准教授。1973年生れ。東京大学大学院総合文化研究科地域文化研究専攻博士課程単位取得退学。日本貿易振興機構アジア経済研究所研究員、国際日本文化研究センター准教授を経て、2008年10月より現職。著書に『現代アラブの社会思想』(講談社現代新書、2002年大佛次郎論壇賞)、『イスラーム世界の論じ方』(中央公論新社、2009年サントリー学芸賞)、『イスラーム国の衝撃』(文春新書)、本誌連載をまとめた『中東 危機の震源を読む』などがある。個人ブログ「中東・イスラーム学の風姿花伝」(http://ikeuchisatoshi.com/)。
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