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暴かれた北朝鮮とパキスタンの核取引:「核の父」死去で謎の書簡に再び脚光

春名幹男
執筆者:春名幹男 2014年7月30日
カテゴリ: 国際 外交・安全保障

 北朝鮮の全秉浩(チョン・ビョンホ)元朝鮮労働党書記が7月7日急性心筋梗塞のため死去、彼の核・ミサイル開発への貢献に敬意を表して、10日に平壌で国葬が営まれた。享年88歳。金正恩(キム・ジョンウン)第1書記を委員長とする国家葬儀委員会が設置され、金永南(キム・ヨンナム)最高人民会議常任委員長や黄炳瑞(ファン・ビョンソ)朝鮮人民軍総政治局長らが参列した。

「訃告」では全氏が「国防工業部門の重要な職責を歴任し、軍を最精鋭の革命強軍に、祖国を人工衛星製作・打ち上げ国、核保有国とする上で特別な貢献をした」と称賛した。まさに、北朝鮮の 「核の父」と呼べるほどの存在だった。

 米財務省は、彼と彼が率いた第2経済委員会を制裁対象として監視してきた。欧米、中東、南アジアの情報機関が注目したのは、彼がイラン、シリアはもとより、ミャンマーにまで核技術の拡散を図ったことだった。

 

カーン博士の隣家で起きた謎の殺人

 パキスタンが初の核実験に成功した10日後の1998年6月7日。首都イスラマバード北部にある壮大な「ファイサル・モスク」に近い高級住宅街E7地区で殺人事件が起きた。

 被害者は北朝鮮外交官カン・テユン氏の夫人キム・サナエさん。翌日地元紙に小さく報じられ、「ガードマンの銃が暴発した」ためとされた。事件はすぐ忘れられた。

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執筆者プロフィール
春名幹男
春名幹男 1946年京都市生れ。大阪外国語大学(現大阪大学)ドイツ語学科卒業。共同通信社に入社し、大阪社会部、本社外信部、ニューヨーク支局、ワシントン支局を経て93年ワシントン支局長。2004年特別編集委員。07年退社。名古屋大学大学院教授を経て、現在、早稲田大学客員教授。95年ボーン・上田記念国際記者賞、04年日本記者クラブ賞受賞。著書に『核地政学入門』(日刊工業新聞社)、『ヒバクシャ・イン・USA』(岩波新書)、『スクリュー音が消えた』(新潮社)、『秘密のファイル』(新潮文庫)、『スパイはなんでも知っている』(新潮社)などがある。
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