「高雄ガス爆発」で露呈:「危機管理」が苦手な馬英九総統

野嶋剛
執筆者:野嶋剛 2014年8月12日
カテゴリ: 国際 政治
エリア: 中国・台湾

 今月初めに台湾南部の高雄で起きたガス漏れによる爆発事故は、死者が30人、負傷者およそ300人に達した。先週末、折からの台風の影響による大雨に見舞われた高雄で現場を見て回ってきたが、今回の爆発事故の衝撃は、その人的被害だけではなく、張り巡らされたガス管の爆発に巻き込まれた4-5キロメートル四方におよぶ1つの地域が事実上の「死の街」と化すという異常事態を招いているところにあることが実感できた。台湾での社会的な反響や影響ほどには海外からの注目が集まっていないのは、人的被害の表面的な数字と、被害の実情との間にギャップがあることも関係しているのだろう。

 そんななか、11日に馬英九総統が行った「緊急」の記者会見をテレビの映像で見たが、この人は本当に「危機管理」が苦手な人であるというのが偽らざる感想だ。まず発生から11日目というタイミングの遅さ。何ごとも熱しやすく冷めやすい台湾では、できるだけ早くアクションを取らないと「不作為」のレッテルが張られかねない。馬総統は現地視察を発生から2日目に行ったものの、その後は沈黙し、支援金などの拠出をめぐり行政院(内閣)と高雄市政府が責任を押し付け合うなどの混乱が起きてしまった。

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執筆者プロフィール
野嶋剛
野嶋剛 1968年生れ。ジャーナリスト。上智大学新聞学科卒。大学在学中に香港中文大学に留学。92年朝日新聞社入社後、佐賀支局、中国・アモイ大学留学、西部社会部を経て、シンガポール支局長や台北支局長として中国や台湾、アジア関連の報道に携わる。2016年4月からフリーに。著書に「イラク戦争従軍記」(朝日新聞社)、「ふたつの故宮博物院」(新潮選書)、「謎の名画・清明上河図」(勉誠出版)、「銀輪の巨人ジャイアント」(東洋経済新報社)、「ラスト・バタリオン 蒋介石と日本軍人たち」(講談社)、「認識・TAIWAN・電影 映画で知る台湾」(明石書店)、訳書に「チャイニーズ・ライフ」(明石書店)。
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