「社会的弱者」への目配りを始めた米共和党

足立正彦
執筆者:足立正彦 2014年8月22日
カテゴリ: 国際 政治 社会
エリア: 北米

 2年前の8月、ミット・ロムニー共和党大統領候補の副大統領候補指名を正式に受諾し、バラク・オバマ大統領の再選阻止に挑み、現在は米議会下院予算委員長の要職にあるポール・ライアン下院議員(ウィスコンシン州第1区選出)が先般、ワシントンにある共和党寄りの保守系有力シンクタンク「アメリカン・エンタープライズ公共政策研究所(AEI)」で自らの貧困撲滅プランを明らかにした【リンク】

 このプランは、複数の連邦政府の貧困撲滅プログラムの統合を図り、「Opportunity Grant」と呼ばれる1つの助成プログラムを新たに創設し、州政府が同助成プログラムを通じて貧困撲滅に取り組むという改革案である。ライアン氏は、貧困の撲滅に挑んでいる現場の人々が最前線に立ち、連邦政府は後方に身を置くべきであり、貧困撲滅にはそうしたアプローチが不可欠と訴えている。

 ライアン氏の政治経歴は華やかだ。2007年に下院予算委員会の野党筆頭理事に就任。共和党が連邦下院議員選挙で60議席以上の議席純増となる歴史的大勝を収めた2010年中間選挙を経て、翌11年1月に招集された第112議会から下院予算委員長を務めている。その間、下院共和党の予算案の作成において中核的役割を担い、大幅減税の導入、法人税の引き下げとともに、低所得者層などに対する連邦政府と州政府の共同の公的医療制度であるメディケイドや、低所得者層向けの食糧費補助施策であるフードスタンプなどの社会福祉関連プログラムの大幅見直しや削減により財政均衡を目指すべき、と主張してきた典型的な保守政治家の1人である。

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執筆者プロフィール
足立正彦
足立正彦 住友商事グローバルリサーチ シニアアナリスト。1965年生れ。90年、慶應義塾大学法学部卒業後、ハイテク・メーカーで日米経済摩擦案件にかかわる。2000年7月から4年間、米ワシントンDCで米国政治、日米通商問題、米議会動向、日米関係全般を調査・分析。06年4月より現職。米国大統領選挙、米国内政、日米通商関係、米国の対中東政策などを担当する。
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