八岐大蛇伝説:「土石流災害」多発の陰にある「複合的要因」

執筆者:塩谷喜雄 2014年8月28日
エリア: 日本
 行方不明者捜索は長期化の懸念も…… (C)EPA=時事
行方不明者捜索は長期化の懸念も…… (C)EPA=時事

 8月20日の早朝、その日の未明に発生した広島市の大規模土砂災害を伝えるヘリコプターからのテレビレポートを聞いて、筆者は強い既視感(デジャ・ビュ)に襲われた。

 19年前の1月17日午前、阪神・淡路大震災直後の神戸市上空を飛ぶ某放送局のヘリからの映像は、軒並み無残につぶれて倒壊した住宅群を映し出していたが、音声で伝えられたコメントは、「ボヤの煙はいくつか見えますが、大規模火災は起きていません」という、被害の実態とはおよそかけ離れた、空疎なものだった。

 当時、新聞社の科学記者だった筆者は、自宅でこのテレビを見て、「そんなのんびりした話じゃないだろう」と、映像とコメントのあまりの落差に毒づきつつ、大慌てで社に向かった。

 日本では、大都市の震災と言えば、関東大震災の経験が強烈で、人命の犠牲はほとんど火災によるものという思い込みが、政治や行政だけでなく、メディアをも蝕んでいたのは確かだ。実際は、6000人を超す阪神大震災の犠牲者のうち、8割は家屋の倒壊による圧死であった。日干しレンガを積んだ住居が立ち並ぶ途上国の地震被害の構造と、ほぼ同じである。

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執筆者プロフィール
塩谷喜雄 科学ジャーナリスト。1946年生れ。東北大学理学部卒業後、71年日本経済新聞社入社。科学技術部次長などを経て、97年より論説委員。コラム「春秋」「中外時評」などを担当した。2010年9月退社。
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