「イスラム国空爆拡大」を支えたNATOでの根回し

執筆者:渡部恒雄 2014年9月17日

 9月前半のオバマ大統領のバルト三国首脳との会談、ウェールズでのNATO(北大西洋条約機構)首脳会議は、ウクライナをめぐるロシアとの対立、過激派組織「イスラム国」への対抗という米国が抱える2つの課題について、欧州諸国からの協力を担保したことで、これまでの「撤退モード」から「介入方向」に一歩踏み出す転換点になったと思われる。

 

バルト三国へのメッセージ

 エストニアのようにロシアと国境を接し、ロシア語を話すマイノリティーを抱えている国家にとって、ロシアのクリミア半島併合や、ウクライナの親ロシア派への軍事援助は大きな脅威になっており、オバマ大統領としては、直接、訪問して首脳と面会し、米国およびNATOのコミットメントを与えることが、喫緊の課題だった。

 9月2日付の『ニューヨーク・タイムズ』(電子版)のインタビューに答えて、オバマ政権の前NATO大使で、現在シカゴ・グローバル問題評議会の理事長アイボ・ダールダーは、「オバマ大統領はバルト三国に対して、その防衛はNATO加盟国の防衛という欧州安全保障の中心課題であり、英国の防衛とエストニアの防衛は等しく重要であることを伝えようとしている」と語ったが、まさにこの点が今回のバルト訪問のカギであった。

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執筆者プロフィール
渡部恒雄 わたなべ・つねお 東京財団上席研究員。1963年生れ。東北大学歯学部卒業後、歯科医師を経て米ニュースクール・フォー・ソーシャルリサーチで政治学修士号を取得。1996年より米戦略国際問題研究所(CSIS)客員研究員、2003年3月より同上級研究員として、日本の政党政治、外交政策、日米関係などの研究に携わる。05年に帰国し、三井物産戦略研究所を経て現職。著書に『「今のアメリカ」がわかる本』など。
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