米29歳女性をめぐる「安楽死」大論争:「尊厳をもって生きる」こと

大西睦子
執筆者:大西睦子 2014年10月24日
エリア: 北米
 ブリタニーさんの独白は全米に衝撃を与えた(YouTubeより)
ブリタニーさんの独白は全米に衝撃を与えた(YouTubeより)

 ブリタニー・メイナードさん、29歳。末期の脳腫瘍のため、医師に余命が6カ月以内と告知されました。彼女は自分の病気の予後や終末期医療などについて慎重に考慮して、自宅のあるカリフォルニア州サンフランシスコ湾岸地域から、オレゴン州に転居することを決断しました。なぜなら、オレゴン州は、米国で尊厳死が合法化されている5つの州(ワシントン、モンタナ、バーモントとニューメキシコ)の1つであるためです。

 現在、彼女は愛する夫と母親と共に、オレゴン州ポートランドに住んでいます。そして彼女が自ら自分自身についての“重大な決意”をウェブ上で公にしたため、メディアでも大きく取り上げられ、いまや全米で彼女自身の尊厳死の権利について大論争が沸き起こっています。

 ただし、ここでまず注意していただきたいのは、米国で議論になっている「尊厳死(death with dignity)」は、「医師による自殺幇助」を意味します。しかし、日本で言われている尊厳死(必要以上の延命行為なしで死を迎えること)は、米国では「自然死」を意味しています。この米国での「自然死」については、リビングウィル(生前の意思表示)に基づき、「患者の人権」として、現在ほとんどの州において法律で許容されています。目下、米国で合法化の是非が議論になっている「尊厳死」は、日本で言われている「安楽死」を意味します。このあたりの違いについては、フォーサイトでの拙稿「『合法化』へと向かう米欧『安楽死』の現場」(2014年9月1日)をご参照ください。

執筆者プロフィール
大西睦子
大西睦子 内科医師、米国ボストン在住、医学博士。1970年、愛知県生まれ。東京女子医科大学卒業後、同血液内科入局。国立がんセンター、東京大学医学部附属病院血液・腫瘍内科にて造血幹細胞移植の臨床研究に従事。2007年4月からボストンのダナ・ファーバー癌研究所に留学し、ライフスタイルや食生活と病気の発生を疫学的に研究。2008年4月から2013年12月末まで、ハーバード大学で、肥満や老化などに関する研究に従事。ハーバード大学学部長賞を2度受賞。現在、星槎グループ医療・教育未来創生研究所ボストン支部の研究員として、日米共同研究を進めている。著書に『カロリーゼロにだまされるな――本当は怖い人工甘味料の裏側』(ダイヤモンド社)。『「カロリーゼロ」はかえって太る!』(講談社+α新書)。『健康でいたければ「それ」は食べるな』(朝日新聞出版)などがある。
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