米国で2人目の死者「エボラ終息」に向けた発生地での取り組み

大西睦子
執筆者:大西睦子 2014年12月1日
エリア: アフリカ 北米
 日本でも感染者発生に備えて訓練をしている(C)時事
日本でも感染者発生に備えて訓練をしている(C)時事

 2014年11月15日土曜日午後3時45分。西アフリカのシエラレオネで医療活動をしていたマーティン・サリア医師(44)が、現地でエボラウイルスに感染し、治療のために米国ネブラスカ州にあるネブラスカ医療センターに搬送されました。

 病院に到着時、サリア医師は極度に重篤な状態であることが全米のニュースで流れました。多くの米国民は、サリア氏の状態は、これまで米国でエボラウイルス病を克服した8人の感染者とは違うのだと受け止めました。

 ネブラスカ医療センターは、米国最大規模の「生物学的封じ込め施設(Biocontainment Unit)」を備えています。現在、米国には4つの生物学的封じ込め施設があり、バイオテロや自然発生した非常に強い感染力がある病気の影響を受けた人に対して、最前線の治療を行っています。また、治療に携わる医師、看護師やスタッフは、特定のプロトコールと患者さんのケアの手順に準じて、特別な訓練を受けています。

 これまで、このネブラスカ医療センターでは、エボラ感染者であるリチャード・サクラ医師、フリーカメラマンのアショカ・ムクボ氏ら2人の治療に成功しています。サクラ医師は、実験薬である『TKM-Ebola』の投与とエボラ生存者からの輸血を受け、ムクボ氏は、別の実験薬である『Brincidofovir(ブリンシドフォヴィル)』の投与とエボラ生存者からの輸血を受けました。両実験薬とも、ウイルスが複製して増殖することを抑えるための薬です。輸血は、エボラ生存者の血液中にはエボラウイルスに対する抗体が含まれていて、エボラ感染患者の免疫システムを助ける効果が期待されています。さらに、エボラ感染には激しい下痢や嘔吐が伴うことがありますので、ミネラルや栄養が失われるため、2人は厳重なモニタリングの上、重篤な疾患のある患者に対するケアである「支持療法」を受けていました。

この記事は役に立ちましたか?
フォーサイト最新記事のお知らせを受け取れます。
この記事をSNSにシェアする
執筆者プロフィール
大西睦子
大西睦子 内科医師、米国ボストン在住、医学博士。1970年、愛知県生まれ。東京女子医科大学卒業後、同血液内科入局。国立がんセンター、東京大学医学部附属病院血液・腫瘍内科にて造血幹細胞移植の臨床研究に従事。2007年4月からボストンのダナ・ファーバー癌研究所に留学し、ライフスタイルや食生活と病気の発生を疫学的に研究。2008年4月から2013年12月末まで、ハーバード大学で、肥満や老化などに関する研究に従事。ハーバード大学学部長賞を2度受賞。現在、星槎グループ医療・教育未来創生研究所ボストン支部の研究員として、日米共同研究を進めている。著書に『カロリーゼロにだまされるな――本当は怖い人工甘味料の裏側』(ダイヤモンド社)。『「カロリーゼロ」はかえって太る!』(講談社+α新書)。『健康でいたければ「それ」は食べるな』(朝日新聞出版)などがある。
comment:0
icon
  • 記事の閲覧、コメントの投稿には、会員登録が必要になります。
フォーサイトのお申し込み
注目記事ランキング
  • 24時間
  • 1週間
  • f
  • 新着
  • 高評価
  • コメント数順