クリミアへの旅(7・最終回)「ウクライナワイン」の行く末

国末憲人
 プーシキンが愛した保養地グルズフ。まさに絶景(筆者撮影、以下同)
プーシキンが愛した保養地グルズフ。まさに絶景(筆者撮影、以下同)

 6月に訪れたウクライナ・クリミア半島の実情を、6回にわたって報告してきた。いよいよ最終回である。これまでは主に、自治州都シンフェロポリ周辺と首都キエフでの取材をもとにしてきたが、この時足を延ばした半島南部ヤルタの姿を紹介したい。

 

「2度と行くものか」

 プーシキンやチェーホフが描く通り、ロシア人にとってクリミア半島はあこがれの保養地だった。筆者がロシアで会った人々の多くも、かの地の素晴らしさを称賛した。さぞかし風光明媚なところなのだろう、と期待してシンフェロポリに降り立ったら、何てことのない普通の街だ。ロシア人の趣味はわからないと首をひねりつつ、車でヤルタに向かい、海辺に近い峠を越えて納得した。確かに絶景である。一生のうち1度ぐらい見ておいても損はない。

 地形図を見ると、クリミア半島はその大部分が平地であるのに対し、南部の海辺すれすれのところに急峻なクリム山脈がそびえている。ここは、欧州最高峰エリブルス山(標高5642メートル)を擁するカフカス山脈の西の果てであり、半島内でも標高は1500メートル前後に達する。黒海沿岸は、この山嶺から海辺にめがけて一気に落ち込む地形となっており、その足元にアルシタ、グルズフ、フォロスといった保養地が並んでいる。高山によって外界から隔絶されている非日常感が、ここでバカンスを過ごす人にとって魅力なのだろう。

執筆者プロフィール
国末憲人
国末憲人 1963年生れ。85年大阪大学卒。87年パリ第2大学新聞研究所を中退し朝日新聞社に入社。富山、徳島、大阪、広島勤務を経て2001-04年パリ支局員。外報部次長の後、07-10年パリ支局長を務め、GLOBE副編集長の後、現在は論説委員。著書に『自爆テロリストの正体』(新潮新書)、『サルコジ―マーケティングで政治を変えた大統領―』(新潮選書)、『ポピュリズムに蝕まれるフランス』『イラク戦争の深淵』(いずれも草思社)、共著書に『テロリストの軌跡―モハメド・アタを追う―』(草思社)などがある。
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