インテリジェンス・ナウ
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「米・サウジ陰謀説」に強まる状況証拠:復権したバンダル元長官がカギに

春名幹男

 原油価格の急激な低下がロシアやイランの経済をまたたく間に窮地に陥れた。

 あまりにも動きが唐突だったこともあり、世界各地で陰謀説がささやかれて久しい。「陰謀説」に火を付けたのはニューヨーク・タイムズの人気コラムニスト、トーマス・フリードマン氏。10月14日付コラム記事で、米国・サウジアラビア対ロシア・イランの世界的な「石油戦争」を伝えた。

 原油価格急落で、既に経済制裁を科せられているロシア(ウクライナ問題)、イラン(核開発問題)が明らかに強い圧力を受ける。陰謀説はさもありなん、といった構図だ。

 しかし具体的に、いつ、なぜ、どのような形で米国とサウジが陰謀策を形成することができたのか。きちんと明確に陰謀について論じた論文などは見当たらない。ただ、断片的な新着情報を組み合わせていくと、陰謀の全体像らしきものが浮かび上がってくるのだ。

 

ケリー・アブドラ会談

 9月11日、サウジアラビアのジッダで行われた地域会議に臨むケリー米国務長官 (C)AFP=時事
9月11日、サウジアラビアのジッダで行われた地域会議に臨むケリー米国務長官 (C)AFP=時事

 まずはタイミングの問題だ。

 確かに、原油価格が1バレル=60ドル割れ、と急落のペースを速めたのは11月27日の石油輸出国機構(OPEC)総会がサウジの主導で「減産見送り」を決めて以降のこと。しかし、サウジはそれ以前から原油の安売りを始めていた。

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執筆者プロフィール
春名幹男
春名幹男 1946年京都市生れ。大阪外国語大学(現大阪大学)ドイツ語学科卒業。共同通信社に入社し、大阪社会部、本社外信部、ニューヨーク支局、ワシントン支局を経て93年ワシントン支局長。2004年特別編集委員。07年退社。名古屋大学大学院教授を経て、現在、早稲田大学客員教授。95年ボーン・上田記念国際記者賞、04年日本記者クラブ賞受賞。著書に『核地政学入門』(日刊工業新聞社)、『ヒバクシャ・イン・USA』(岩波新書)、『スクリュー音が消えた』(新潮社)、『秘密のファイル』(新潮文庫)、『スパイはなんでも知っている』(新潮社)などがある。
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