ボコ・ハラム:日本メディアが報じない「ナイジェリア政府軍」の蛮行

執筆者:白戸圭一 2015年1月7日
タグ: 日本
エリア: アフリカ

 ナイジェリアのイスラム武装組織ボコ・ハラムが1月3日、同国北東部ボルノ州バガにあるナイジェリア政府軍基地を制圧した。バガの街はニジェール、チャド、カメルーンの3カ国との国境に近く、軍基地には対ボコ・ハラム合同治安部隊の本部が置かれていたため、基地制圧のニュースはボコ・ハラムの勢力拡大を象徴する出来事として、NHKをはじめとする日本のメディアでも報道された。

 ボコ・ハラムは2014年4月に女子生徒200人以上を拉致したことで日本でもその名が知られ、筆者も当欄において過去に何度かボコ・ハラムに関する記事を執筆してきた。組織の特質や成立の経緯についてはそれらの記事をご参照いただければ幸いだが、ここでは日本のメディアが報じていない点について書いておきたい。それは、ボコ・ハラムが多数の民間人殺害や拉致を引き起こしながら、なぜ活動を続けることが可能なのかに関わる事柄である。

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執筆者プロフィール
白戸圭一(しらとけいいち) 立命館大学国際関係学部教授。1970年生れ。立命館大学大学院国際関係研究科修士課程修了。毎日新聞社の外信部、政治部、ヨハネスブルク支局、北米総局(ワシントン)などで勤務した後、三井物産戦略研究所を経て2018年4月より現職。著書に『ルポ 資源大陸アフリカ』(東洋経済新報社、日本ジャーナリスト会議賞受賞)、『日本人のためのアフリカ入門』(ちくま新書)、『ボコ・ハラム イスラーム国を超えた「史上最悪」のテロ組織』(新潮社)など。京都大学アフリカ地域研究資料センター特任教授、三井物産戦略研究所客員研究員を兼任。
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