「人手不足」と外国人(6)新聞は絶対書かない「留学生」の「違法新聞配達」

出井康博
執筆者:出井康博 2015年1月29日
カテゴリ: IT・メディア 国際 社会
エリア: 日本

 介護施設や建設現場、深夜も稼働する工場や宅配便の仕分け作業……。普段の生活では接点の乏しい職場で、外国人労働者が確実に増えている。しかも彼らは「労働者」として日本に入国していない。今や留学生の存在なしでは成り立たくなった「新聞配達」も、そうした職種の1つである。

 午前4時――。静まり返った東京近郊の住宅街に原付スクーターのエンジン音が響いていた。気温は0度近くまで下がり、人通りは全くない。時たま巡回中のパトカーやタクシーとすれ違うくらいだ。

 スクーターのハンドルを握るベトナム人のタン君(20代)は2012年3月の来日以降、日本語学校に通いながら新聞配達を続けてきた。

「新聞配達は楽しいです。早起きもすぐに慣れました」

 タン君の仕事は午前2時に始まる。約350部の朝刊を配った後、午前中は日本語学校で授業を受け、午後から夕方にかけ夕刊を配達する。休みは週1日だけだ。

 来日当初は日本語の表札も読めず、配達先の特徴を図柄で記した「順路帳」が手放せなかった。しかし、現在の仕事ぶりは日本人と全く遜色ない。ヘルメットにマフラー、マスク姿で配達するタン君を見かけても、誰も外国人だとは気づかないだろう。

この記事は役に立ちましたか?
Foresight最新記事のお知らせを受け取れます。
この記事をSNSにシェアする
執筆者プロフィール
出井康博
出井康博 1965年岡山県生れ。早稲田大学政治経済学部卒。英字紙『THE NIKKEI WEEKLY』記者を経てフリージャーナリストに。月刊誌、週刊誌などで旺盛な執筆活動を行なう。主著に、政界の一大勢力となったグループの本質に迫った『松下政経塾とは何か』(新潮新書)、『年金夫婦の海外移住』(小学館)、『黒人に最も愛され、FBIに最も恐れられた日本人』(講談社+α文庫)、本誌連載に大幅加筆した『長寿大国の虚構 外国人介護士の現場を追う』(新潮社)、『民主党代議士の作られ方』(新潮新書)がある。最新刊は『襤褸(らんる)の旗 松下政経塾の研究』(飛鳥新社)。
comment:4
icon
  • 記事の閲覧、コメントの投稿には、会員登録が必要になります。
フォーサイトのお申し込み
【中東大混迷を解く】 サイクス=ピコ協定 百年の呪縛
注目記事ランキング
  • 24時間
  • 1週間
  • f
最新コメント
最新トピック
  • 新着
  • 高評価
  • コメント数順