インテリジェンス・ナウ

北朝鮮「ハリボテ」は「見世物」か「開発段階の模擬ミサイル」か

執筆者:春名幹男 2012年5月17日
軍事パレードで公開されたICBMと見られる新型ミサイル (C)AFP=時事
軍事パレードで公開されたICBMと見られる新型ミサイル (C)AFP=時事

 北朝鮮が4月15日、金日成主席生誕100年の軍事パレードで公開した大陸間弾道ミサイル(ICBM)とみられる新型ミサイル。欧米の専門家の間で「ハリボテ」との見方で一致している。  しかし、ドッグショーに出演する犬のような「単なる見世物」か、今後ICBM開発に向けた北朝鮮の意図を探る貴重な情報とみるべきか――という点で意見が対立している。  技術的に問題だらけのハリボテ(mock-up)と指摘しているのは、ドイツのミサイル技術者マルクス・シラー、ロバート・シュムッカー両博士だ。  これに対して、後者の慎重論者はモンテレー国際研究所の東アジア不拡散計画部長、ジェフリー・ルイス博士や、陸軍情報部など情報コミュニティで画像解析専門家として働いたニック・ハンセン氏ら。  ICBMの模擬ミサイルとみられる「見世物」は西側情報当局によって、KN08のコード名が付けられた。軍事パレードで姿を現したKN08は全部で6基で、軍備管理・核拡散問題の米政府コンサルタント、ジョシュア・ポラック氏によると、そのうち5基には904830216、 901010212、 904830218、 904830215、 901010418のシリーズ番号が付けられていた。この番号について、上3ケタ目が4と1の2種類があり、製造工程が2つの可能性もあるとみられている。

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執筆者プロフィール
春名幹男(はるなみきお) 1946年京都市生れ。国際アナリスト、NPO法人インテリジェンス研究所理事。大阪外国語大学(現大阪大学)ドイツ語学科卒。共同通信社に入社し、大阪社会部、本社外信部、ニューヨーク支局、ワシントン支局を経て93年ワシントン支局長。2004年特別編集委員。07年退社。名古屋大学大学院教授、早稲田大学客員教授を歴任。95年ボーン・上田記念国際記者賞、04年日本記者クラブ賞受賞。著書に『核地政学入門』(日刊工業新聞社)、『ヒバクシャ・イン・USA』(岩波新書)、『スクリュー音が消えた』(新潮社)、『秘密のファイル』(新潮文庫)、『米中冷戦と日本』(PHP)、『仮面の日米同盟』(文春新書)などがある。
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