病気を治すのは「いのちの力」 (6)

言うは易く行うは難しい「断らない医療」

執筆者:髙本眞一 2015年1月3日
タグ: 日本
エリア: アジア

 先日、17年ぶりに当直をしました。病院長になって、年目のことです。当院では、「断らない医療」を掲げています。しかし、毎日の医事課からの報告書を見ると、患者さんを断っている場合がありました。責任者に聞いてみると、それぞれの事例で、問題がある患者さんだった、あるいは、若手の医師のみに当直が集中しがちで十分なマンパワーを確保できていないために受け入れられなかったなどの説明があるのですが、なんとなく納得がいきません。

「患者さんに問題がある」とは実際にどういうことなのか。マンパワーが足りないのならば、もっと志願者を増やせばいい。救急医療の現場の実態を知るため、若い人に当直が集中している現状に一石を投じるためにも、かけ声だけでなく、自ら率先して当直を行うことを思い立ちました。ここまで読んで、「迷惑な上司だ」と思われる方がたくさんいらっしゃるだろうことは、素直に受け入れます。本当に迷惑だとわかっていましたが、現場を見ずに、物申すのはもっと職員にとっては迷惑だと判断しました。

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